LESSON2
社会化期ってよく聞くけど、具体的にどういう意味なの?
社会化期とは、社会化するのに適した時期のことですが、一般に生後13週までと言われています。この時期により多くの人間、犬と触れ合い、今後経験するであろうこと(車の通る道、工事の音など)を経験させ、且つ良い経験をさせる必要があります。
友好的な犬とたくさん触れ合い、人にもたくさん可愛がってもらってください。
その時期を過ぎてしまうと恐怖心が生まれてきます。新たに見るものを恐れるようになります。好奇心の強いうちに社会化を行いましょう。
社会化期は感情に関わる扁桃体(脳の一部)が著しく発達し、神経細胞の数が増えます。この時期にしっかりと社会化し、脳を発達させておかないと感情の制御に影響が出てきます。それは行動にも影響を及ぼします。
犬はワクチンを3回してから外に出してくださいと言われていますが、それでは非常に遅いです。社会化期が終わってしまいます。人や犬に攻撃的になるリスク、社会を恐れ散歩も怖がるようになるリスクを考えれば、社会化が優先でしょう。(しかし、健康な子犬ということを前提とします。)
私が今もし健康な子犬を迎えたら、感染症のリスクの低い場所を選び1回のワクチンが終わったら外に出します。
子供がインフルエンザになるのを恐れて子供が大きくなるまで外に出さない、なんてことはきっと起こりません。子供だったら積極的に他の子と遊ばせ、たくさん学んでほしいと感じることでしょう。
社会化期が終わっていきなり外(社会)に出たら、コミュニケーションの取り方も分からない、聞いたことのない車の音、見たこともない周りを歩く多くの人、…となってはパニックになってしまいます。
それは人間に例えることも出来るでしょう。言葉も分からずいきなり大人になってから社会に出るようなものです。
そして幼少期の社会環境はセロトニン神経系に影響を与えます。セロトニンとは幸せホルモンのことであり、セロトニンの不足と人間の鬱病は大きな関連があります。(犬も鬱状態になります。)
また、生後6週齢で母犬・兄弟犬と引き離すと、子犬はその後健康に悪影響が出て情緒が不安定な成犬となることが分かっています。早いうちから母犬と離してはいけないと言われているのはその為です。
しかし、私がトレーニングをしていく多くの子たちはおそらく社会化の終わった成犬でしょう。怖い物を恐怖の対象から外していく、気にならない存在にしていくトレーニングを行います。
犬や物音に怖がっていると気付いたら、行動療法を始める時期は早ければ早いほど、治りも早くなります。放っておけば悪化する可能性が高く、愛犬のストレスは強くなり飼い主さんの苦労も増えます。恐怖は攻撃に繋がります。そうなる前に、気付いたら早めの相談をお勧めします。
怖い物を怖がらなくなる、その時を想像しながら…。共に頑張りましょう!
2020.2.2